提供元:遠藤隆尚
手こぎの船に揺られて3時間。幻想的な風景に酔いしれてまずはハノイからニンビン行きのバスまたは電車に乗り、114キロメートルほど南下してニンビンに移動しましょう。目指す「チャンアン」は、ニンビンから7キロメートルほど離れた位置にあります。道順は難しくないので、バイクをレンタルしてもよいですし、車をチャーターするのもよいでしょう。1日で効率よく観光したいのであれば、ハノイからの日帰りツアーがお薦めです。ハノイ近郊の人気ツアーなので、いずれの観光案内所でも取り扱っています。
チャンアン名勝・遺跡群について、ミンシン会社のツアーを参考していただきます。
■ニンビンへのアクセス
バス:ザップバット(Giap Bat)バスターミナルより約2時間。6:00~18:00の間に多数の便があります。
列車:ハノイA駅より13:00と15:00の1日2便。約2時間半
提供元:遠藤隆尚
9つの洞穴をくぐり抜けて入場ゲートをくぐり、ボート乗り場入口手前の建物でチケットを購入します。スタッフにチケットを渡したら、後はスタッフの指示に従いボートに乗り込みましょう。ボートは3~5人ほど人が集まると出発します。
船頭さんによる手こぎのボートに揺られ、約3時間の旅が始まります。
水鏡のような清らかな水面は奇岩と森の木々を映し出し、水中に目を凝らせば森のような水草の群生と、その間を縫って泳ぎまわる小さな魚が見られます。そして、手のひらに載るほどに小さなカモたちが水中に潜っては小魚を捕るその姿に、心を奪われることでしょう。
提供元:遠藤隆尚
やがて、風光明媚(ふうこうめいび)な奇岩の山々が目の前に迫ってきます。その先には、川の侵食によってできた洞穴がぽっかりと口を広げて待ち構えています。何と、ボートに乗ったまま狭い洞穴を通り抜けるのです。
ほんのりと薄暗く曲がりくねった洞穴の中を、船頭さんの見事なオール捌きで上手にすり抜けていきます。時には、頭上や船幅のすれすれまで洞穴の壁が迫る場所もあり、スリル満点の船旅へと一変します。
写真:遠藤 まさみ
船旅の途中では、川岸にぽつぽつと建てられた寺院が目に入ります。なぜこのような不便な場所に?とも思いますが、まるで仙人の住む地のような雰囲気を感じさせる寺院と奇岩の織り成す景観が、寺院を建てた人々の思いに納得することでしょう。
世界遺産「チャンアンの景観複合体」は、自然遺産と文化遺産の両方の要素を合わせ持つ複合遺産です。奇岩(自然)のなかに寺院(文化)のあるこの風景こそが、複合遺産であると感じさせてくれるでしょう。
写真:遠藤 まさみ
見所がたくさんあるニンビンは宿泊がお薦め寒い季節になる頃、チャンアンの川面(かわも)はピンク色の睡れんが満開を迎え、景観の美しさを一層引き出しています。お薦めの時間帯は午前中。午後2時を過ぎる頃には、睡れんの花が閉じてしまいます。
「陸のハロン湾」の別名を持つチャンアンですが、ハロン湾にはないピンク色の睡れんが織り成す美しい景色を眺めていると、仙人ならぬ天女が住む地なのでは?と思わせてくれるでしょう。
今回ご紹介したのは「チャンアン」のみですが、チャンアンと同じように田んぼと奇岩の間を抜ける船旅を楽しめる「タムコック」やベトナム初の独立王朝の都「古都ホアルー」も、世界遺産「チャンアンの景観複合体」に登録されています。また、ベトナムの暫定リストに登録されている「香寺」や「クックフォン国立公園(CUC PHUONG NATIONAL PARK)」など、たくさんの見所があります。
また、ニンビンからは「ハロン湾」の玄関口となるハイフォン行きのバスもあり、世界遺産であるチャンアンとハロン湾の両方を楽しめます。
チャンアンは2014年に世界遺産に登録されたばかりなので、まだ観光客も少なくゆったりと景色を楽しめます。たくさんの人が押しかける前に、ぜひ訪れてみてください。
*暫定リストとは、世界遺産に登録される前の「世界遺産候補」を掲載したリストです。
チャンアン名勝・遺跡群について、ミンシン会社のツアーを参考していただきます。
記事作者: guide.travel.co
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