石灰岩の山が林立するカルスト地形や約3万年前の人類の生活跡が発見された洞窟、ベトナムの古都ホアルーなど見どころ豊富なチャンアンの景勝・遺跡群から、今回は世界遺産の名称にもなっているチャンアンのボートクルーズを紹介します。
女性船頭さんが案内するのどかな景勝地
チャンアンがあるのは、ハノイから車で約2時間のニンビン省。世界遺産登録によって外国人観光客も急増していて、ボートクルーズを含むハノイ発の日帰りツアーも開催されています。
連なる石灰岩の山は、かつての海底が隆起したもの。ところどころ山に囲まれた池ができていて、地下水脈でつながっているそう。確かに透明度の高い清らかな水は触るととっても冷たい。チャンアンではそんな水郷を手漕ぎボートでめぐる周遊ツアーが名物になっています。
船着場には無数の手漕ぎボートが係留され、船頭さんがズラリと並んで待っています。船頭さんは基本的に女性で、船のいちばん後ろに前向きに座って櫂を押すようにして漕ぎます。2時間30分~3時間ずっと漕ぎ続けるって、流れはほとんどないとはいえ、これはかなりの重労働。
さすがに見せてとはいえませんでしたが、広背筋や上腕二頭筋あたりさぞかし立派なんだろうと想像してしまいます。聞いたところ、船を漕ぐのは1日1回だそう。そりゃそうでしょう。
狭い洞窟をくぐり抜けて美景をめぐる狭い洞窟をくぐり抜けて美景をめぐる
注目の世界遺産だけに、何艘ものボートが次々に船着場を離れていきます。聞こえるのは櫂を漕ぐ音だけ……と言いたいところですが、ツアー客は意外とにぎやか。流行歌を合唱するベトナム人の学生グループ、すれ違いざまに話しかけてくるタイ人グループ、船頭さんと一緒に自分たちも船を漕ぐフランス人グループなどなど国際色も豊かです。
ワイワイ楽しみながら水路を進むと、目の前には天高くそり立つ絶壁が。行き止まりか?と目を凝らしたところ、前のボートが岩の中へと吸い込まれていくではないですか。よく見ると小さな穴が開いていて、そこが洞窟の入口になっているようなんです。
このエリアの山は、雨による水面上昇などによって石灰質の岩肌が削られ、ところどころに洞窟ができています。長い年月をかけて造られた洞窟のなかには鍾乳洞も。小さい手漕ぎボートだから通れるような狭い洞窟を通って、山々に囲まれた池をめぐっていくわけです。
それにしても称賛すべきは船頭さんの操船テクニック。頭上スレスレ……というか、油断すると頭をぶつけそうな鍾乳洞のなか、最も天井が高い場所を選び慎重に進んでいきます。水量にもよりますが、カメラのファインダーだけのぞいていると頭をぶつけますので、乗客もセルフディフェンスの意識が必要です。
チャンアンには48カ所の洞窟がありますが、クルーズで通るのは9カ所。白熱灯に照らされた幻想的な洞窟は冒険気分を盛り上げます。洞窟から出ると緑に囲まれた池には赤い睡蓮の花が咲き乱れ、のどかな楽園のような世界が。さらに洞窟に入ると、次の出口にはそびえ立つ岩山の連なり、また次の洞窟を出ると牧歌的な田園風景……といった具合に、ベトナムの美しい風景を堪能しながらのボートツアーになります。
外国人はまだ少ない穴場観光スポット外国人はまだ少ない穴場観光スポット
途中、いくつか寺院が見えるのですが、そのうちの1つに上陸しました。地元の人が熱心に祈りを捧げる寺院は、岩と一体化したような幻想的なたたずまい。きちんとお供えものが捧げられています。小さな石橋を渡って島の反対側へいくと、ツルとカメに守られたもう少し大きな寺院があり、水郷と共にある人々の歴史を垣間見られます。
起源は2億4000万年前にさかのぼるという雄大なカルスト地形と、その類まれなる自然に寄り添って生きる人々の営みが心に響く、そのへんがチャンアンの魅力でしょう。
ツアー中、ウエディングドレス姿のカップルを何組か見かけたのですが、ベトナムではチャンアンで結婚の記念写真を撮影するのが定番のよう。ベトナム人にとってもこの美しい景観は特別なものなんでしょう。それだけに今のところ観光客はベトナム人がメイン。まだまだ外国人観光客には穴場的スポットといってもよさそうです。
日本で人気上昇中のベトナムですから、これからグッと注目されそうなチャンアン、チェックです!
記事作者: Minh Sinh
情報源: welove.expedia.co.jp
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